@article{oai:cuc.repo.nii.ac.jp:00004637, author = {谷川, 喜美江 and タニガワ, キミエ and TANIGAWA, Kimie}, issue = {3}, journal = {千葉商大論叢}, month = {Dec}, note = {P(論文), 我が国の現行固定資産の法定耐用年数は,昭和26年改正を基礎として規定されている。しかし,昭和26年改正時は高度のインフレと混沌とした経済背景を根拠に,費用の期間配分という会計における減価償却の目的達成のために投下資本回収期間を法定することで,公平・公正を担保しなければならず,固定資産の法定耐用年数は問題を抱えていても,精緻な区分を設けることが要求されていた。つまり,固定資産の法定耐用年数は,固定資産の耐用年数の正確な測定というより,公平・公正を担保するために設けられたものである。しかし,現在,我が国企業は国際化の進展と技術革新の進歩が著しく,国際競争力を確保しなければならない状況にあり,このためには企業の経済的側面から経営断上の要求に基づく投下資本回収期間として,固定資産の耐用年数を決定することが求められる。そこで,公平・公正を確保した固定資産の耐用年数を決定することが可能であるか否かTKC指標を検討したが,公平・公正が担保されているとは言えず,他の団体から公表されている経営指標でも同様の問題を抱えていることから,経営指標に基づく固定資産の耐用年数の決定は困難であることが示された。したがって,経済的な側面から経営判断上の要求に基づく固定資産の耐用年数を企業が自由に決定することが許される制度確立のため何らかの方策を検討しなければならないことからフランスの制度を整理したところ,フランスでは固定資産の償却率は,フランスでの商慣行に基づき,司法の場での争いを経ながら定められた償却率が適用されており,かつ,第二次世界大戦後の経済復興,その後の企業の国際競争力確保のための政策が減価償却制度に取り入れられてきたもので,さらに,償却率の20%の間において企業が自由に決定することも容認され,減価償却費計上に関して企業裁量の余地が与えられている。これは,我が国の詳細に規定されている固定資産の法定耐用年数から求められる償却率とは対照的な制度である。このように,フランスの固定資産の償却率は,企業の国際競争力確保と経済的な側面から経営判断上の要求に基づき決定されており,また,商慣行に基づく償却率は企業と課税庁との間で争いが生じた場合には,その判断を司法に委ね,決定されてきたものである。この経緯は,国際化が進む我が国で固定資産の法定耐用年数を抜本的に改革する際には参考となる。現行の我が国固定資産の法定耐用年数が,戦後の混沌とした中で必要に迫られ規定された詳細な区分を設けたまま適用され続けているという事実は,企業,すなわち納税者に経済的側面から経営判断上の要求に基づく投下資本回収期間を決定するという裁量の余地を奪ったばかりではなく,納税者が課税庁と争うことさえ許されないという非常に硬直的な制度となっている。また,我が国税法では減価償却費の損金の額への算入のためには,損金経理要件が要求されていることから,会計上の減価償却費の計上も税法に従うところがある。そこで,経済復興,国際競争力の観点から減価償却制度が定められているフランスを参考として,我が国の固定資産の耐用年数を,経済的側面からの経営判断上の要求に基づく投下資本回収期間と合致させるためには,投下資本回収期間を最もよく知り得る企業にこれを決定する自由を与えなければならず,このためには,現行の詳細な固定資産の法定耐用年数を廃止することが行われなければならない。しかしながら,企業の自由裁量に任せると,減価償却制度の公平・公正を阻害し,租税回避行為と課税実務の煩雑さが懸念されることから,大きな区分を設けて固定資産の法定耐用年数を定めるとともに,フランスの減価償却制度のごとくその範囲に弾力性を持たせることが必要となる。その上で,フランスに比すと相当遅れた制度であることを感じるが,固定資産の耐用年数決定に関する納税者と課税庁のそれぞれの主張に基づく争いは,司法判断に委ねることで解決して行くことがなされなければならないのである。}, pages = {73--86}, title = {耐用年数の再検討(2)(影山僖一先生、高木泰典先生退職記念号)}, volume = {45}, year = {2007} }